トルク

曖昧さ回避 トルク」のその他の用法については「トルク (曖昧さ回避)」をご覧ください。
古典力学
F = d d t ( m v ) {\displaystyle {\boldsymbol {F}}={\frac {\mathrm {d} }{\mathrm {d} t}}(m{\boldsymbol {v}})}
運動の第2法則
歴史(英語版)
分野

静力学  · 動力学 / 物理学における動力学  · 運動学  · 応用力学  · 天体力学  · 連続体力学  · 統計力学

定式化
基本概念

空間 · 時間 · 速度 · 速さ · 質量 · 加速度 · 重力 · 力 · 力積 · トルク / モーメント / 偶力 · 運動量 · 角運動量 · 慣性 · 慣性モーメント · 基準系 · エネルギー · 運動エネルギー · 位置エネルギー · 仕事 · 仮想仕事 · ダランベールの原理

主要項目

剛体 · 運動 · ニュートン力学 · 万有引力 · 運動方程式 · 慣性系 · 非慣性系 · 回転座標系 · 慣性力 · 平面粒子運動力学 · 変位 · 相対速度 · 摩擦 · 単振動 · 調和振動子 · 短周期振動 · 減衰 · 減衰比 · 自転 · 回転 · 円運動 · 非等速円運動 · 向心力 · 遠心力 · 遠心力 (回転座標系) · 反応遠心力 · コリオリの力 · 振り子 · 回転速度 · 角加速度 · 角速度 · 角周波数 · 偏位角度

科学者

ニュートン · ケプラー · ホロックス · オイラー · ダランベール · クレロー · ラグランジュ · ラプラス · ハミルトン · ポアソン

固定された回転軸をもつ系に対して、力を作用させた時の物理量の関係。力のモーメント τ {\displaystyle {\vec {\tau }}} と位置ベクトル r {\displaystyle {\vec {r}}} と力 F {\displaystyle {\vec {F}}} との関係(上の式)、および角運動量 L {\displaystyle {\vec {L}}} と位置ベクトル r {\displaystyle {\vec {r}}} と運動量 p {\displaystyle {\vec {p}}} との関係(下の式)。

トルク英語: torque)とは、力学において、ある固定された回転軸の周りにはたらく力のモーメントの回転軸方向の成分である。一般的には「ねじりの強さ」として表される。力矩ねじりモーメントとも言う。

概要

トルクは、力と距離ベクトル積)で表される量(モーメント)である。力の単位はN(ニュートン)だが、トルクの単位はN・m(ニュートンメートル)である。トルクは主に工学の分野、特にエンジン・電動機発電機タービンなどの機械機械工学などの分野で用いられることが多い。

てこを使って物体を動かすために必要な力は、てこの支点からの距離に反比例する。このことは、てこに支持された物体を動かすために必要なトルクが一定であることと言い換えられる。

あるトルクは同じ軸のまわりの別の作用点に働くトルクで置き換えることができる。同じ軸を中心とするトルク同士を合成したり、またひとつのトルクを複数のトルクに分解することもできる。トルクを平行で同じ大きさを持ち、反対向きの2つの力に分解した時、その力を特に偶力とよぶ。

定義

回転軸 Q の周りに力のモーメント N が作用するとき、トルクは

τ = e Q N {\displaystyle \tau ={\boldsymbol {e}}_{\text{Q}}\cdot {\boldsymbol {N}}}

で定義される。ここで eQ は回転軸 Q の方向の単位ベクトルである。

力のモーメントの定義 N = r × F を用いれば、トルクが

τ = F ( e Q × r ) = F eff δ {\displaystyle \tau ={\boldsymbol {F}}\cdot ({\boldsymbol {e}}_{\text{Q}}\times {\boldsymbol {r}})=F_{\text{eff}}\,\delta }

と表わされる。ここで δ は腕の長さ、Feff は回転に寄与する実効的な力の大きさである。 回転に寄与する力 Feff が等しい時、腕の長さ δ が長いほうが物体を回転させる効果が大きい。

回転運動に関する運動方程式は力のモーメント N角加速度 α、および慣性モーメント I を用いて

I α = N {\displaystyle I{\boldsymbol {\alpha }}={\boldsymbol {N}}}

と表わされる。回転軸が固定されていている場合には、回転軸方向の成分だけ考えればよく

I α = τ {\displaystyle I\alpha =\tau }

としてよい。

回転運動と直線運動

回転運動に関する量には、直線運動で成り立つ法則に対応する類似の法則を見出すことができる。これは法則が似るように回転運動での量を定義したものだからである。トルクは「力」そのものではなく「力のモーメント」であり、慣性モーメントは質量に距離の2乗をかけたものである。

回転運動と並進運動の対応一覧
回転運動 並進運動
力学変数 角度 θ {\displaystyle {\boldsymbol {\theta }}} 位置 r {\displaystyle {\boldsymbol {r}}}
一階微分 角速度 ω = d θ d t {\displaystyle {\boldsymbol {\omega }}={\frac {d{\boldsymbol {\theta }}}{dt}}} 速度 v = d r d t {\displaystyle {\boldsymbol {v}}={\frac {d{\boldsymbol {r}}}{dt}}}
二階微分 角加速度 α = d ω d t {\displaystyle {\boldsymbol {\alpha }}={\frac {d{\boldsymbol {\omega }}}{dt}}} 加速度 a = d v d t {\displaystyle {\boldsymbol {a}}={\frac {d{\boldsymbol {v}}}{dt}}}
慣性 慣性モーメント I {\displaystyle I} 質量 m {\displaystyle m}
運動量 角運動量 L = r × p {\displaystyle {\boldsymbol {L}}={\boldsymbol {r}}\times {\boldsymbol {p}}} 運動量 p = m v {\displaystyle {\boldsymbol {p}}=m{\boldsymbol {v}}}
力のモーメント N = r × F {\displaystyle {\boldsymbol {N}}={\boldsymbol {r}}\times {\boldsymbol {F}}} F {\displaystyle {\boldsymbol {F}}}
運動方程式 d L d t = N {\displaystyle {\frac {d{\boldsymbol {L}}}{dt}}={\boldsymbol {N}}} d p d t = F {\displaystyle {\frac {d{\boldsymbol {p}}}{dt}}={\boldsymbol {F}}}
運動エネルギー 1 2 I ω 2 {\displaystyle {\frac {1}{2}}I\omega ^{2}} 1 2 m v 2 {\displaystyle {\frac {1}{2}}mv^{2}}
仕事 N Δ θ {\displaystyle {\boldsymbol {N}}\cdot \Delta {\boldsymbol {\theta }}} F Δ r {\displaystyle {\boldsymbol {F}}\cdot \Delta {\boldsymbol {r}}}
仕事率 N ω {\displaystyle {\boldsymbol {N}}\cdot {\boldsymbol {\omega }}} F v {\displaystyle {\boldsymbol {F}}\cdot {\boldsymbol {v}}}
ダンパーばねに発生する力を
考慮した運動方程式
I α + c ω + k θ = N {\displaystyle I\alpha +c\omega +k\theta =N} m a + c v + k x = F {\displaystyle ma+cv+kx=F}

関連項目

ウィキメディア・コモンズには、トルクに関連するカテゴリがあります。
ウィキデータにはトルクのプロパティであるトルクがあります。( 使用状況)

外部リンク

JIS Z 8000-4:2022「量及び単位-第4部:力学」日本産業標準調査会経済産業省

線形・直線運動の量 角度・回転運動の量
次元 L L2 次元
T 時間: t
s
absement: A
m s(英語版)
T 時間: t
s
距離: d, 位置: r, s, x, 変位
m
面積: A
m2
角度: θ, 角変位(英語版): θ
rad
立体角: Ω
rad2, sr
T−1 周波数: f
s−1, Hz
速さ(速度の大きさ): v, 速度: v
m s−1
動粘度: ν,
比角運動量(英語版)h
m2 s−1
T−1 周波数: f
s−1, Hz
角速度(の大きさ): ω, 角速度: ω
rad s−1
T−2 加速度: a
m s−2
T−2 角加速度: α
rad s−2
T−3 躍度: j
m s−3
T−3 角躍度: ζ
rad s−3
M 質量: m
kg
M L2 慣性モーメントI
kg m2
M T−1 運動量: p, 力積: J
kg m s−1, N s(英語版)
作用: 𝒮, actergy:
kg m2 s−1, J s(英語版)
M L2 T−1 角運動量: L, 角力積: ΔL
kg m2 s−1
作用: 𝒮, actergy:
kg m2 s−1, J s
M T−2 力: F, 重さ: Fg
kg m s−2, N
エネルギー: E, 仕事: W
kg m2 s−2, J
M L2 T−2 トルク: τ, 力のモーメント: M
kg m2 s−2, N m
エネルギー: E, 仕事: W
kg m2 s−2, J
M T−3 yank: Y
kg m s−3, N s−1
仕事率: P
kg m2 s−3W
M L2 T−3 rotatum: P
kg m2 s−3, N m s−1
仕事率: P
kg m2 s−3, W
典拠管理データベース: 国立図書館 ウィキデータを編集
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