シボレー・サバーバン
サバーバン(Suburban)は、ゼネラルモーターズ (GM) がシボレーブランドで販売するフルサイズSUVである。
1935年から現在に至るまで、アメリカでも最も長く生産されている車種の1つである。
沿革
1933年から1934年、シボレーは、1/2トン・ピックアップトラックのフレームを元に、ステーションワゴンを販売、このモデルは特に州軍や民間の自然保護団体向けに開発されたものである。車体の多くの部品が木製で、座席定員は3・2・3の3列8名乗車が可能であった。
初代(1935年 - 1940年)
1935年、貨物のバンと乗用のキャリオール(Carryall)[1]を設定し、市販を前提とした量産車としてシボレー・サバーバンが登場した。このモデルは同世代の1/2トン・ピックアップのフレームや、ボンネットとキャブを流用していたが、全てが金属製となったボディは、過去のウッディワゴンとは少し形が異なった。3・2・3の3列8名乗車が可能で、背面には荷役や乗降に便利なように、観音開き、または上下開き(跳ね上げ窓とテールゲートの組み合わせ)のバックドアを設けた。
2代目(1941年 - 1947年)
1941年にモデルチェンジし、戦時体制下の1942年から1946年にかけては、主に軍用輸送車として生産、納入された。
バックドアが観音開きのモデルが3106、上下開きのモデルが3116と呼ばれる。直列6気筒のガソリンエンジンを搭載し、排気量はシボレーが216立方インチ、GMCは228立方インチである。
3代目(1947年 - 1955年)
1947年にモデル・チェンジを受け、1954年から4速ハイドラ・マチック(一般的なトルコン式AT)が追加された。この世代が「キャノピー・エクスプレス」(Canopy express)最後のモデルとなった。
4代目(1955年 - 1959年)
1955年、エンジンのラインナップにI6とスモール・ブロックV8が登場した。シボレーは265立方インチV8を搭載していたが、後に283立方インチのCIDバージョンに進化させた。なお、GMCのV8エンジンはポンティアックのものをベースとしていた。
5代目(1960年 - 1966年)
1960年から1961年モデルは、1950年代のシボレー車の特徴を踏まえていた。フロントグリルの上部にある大きな楕円形のエアインテークがそれである。
1962年以降、ボンネットの造形が穏やかになり、大きなエアインテークを廃止して、より近代的な外観に変更された。
1964年、フロントウインドシールドが引き立って見えるよう変更され、ドアウインドウも拡大された。
このモデルは、当初4WDをオプションとしていた。2WDモデルは、トーションバースプリングを用いたフロントダブルウィッシュボーンサスペンションを装備し、リアはトレーリングアームとコイルスプリングのリジッドアクスルで構成されていた。
エンジンは直6とV8で、305立方インチのV6がGMCのモデルでは搭載可能であった。305エンジンはGMCの中型トラック向けに製造されたものを転用したもので、トルクは大きかったが、燃費には大いに問題があった。
6代目(1967年 - 1972年)
この世代はドライバー側1枚、助手席側2枚の、左右非対称のドア配置が特徴である。2WDと4WDとが用意されており、283、307、350立方インチのV8エンジンがラインナップしていた。
1971年、フロント・ブレーキがディスク化され、1972年は2WDモデルのリアサスペンションがコイルスプリングであった最後の年である。
7代目(1973年 - 1991年)
シボレー・サバーバン | |
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概要 | |
別名 | GMCサバーバン |
販売期間 | 1973-1991 |
ボディ | |
プラットフォーム | C/K |
パワートレイン | |
エンジン | ディーゼル 4.0 L I4 Maxion S4/S4T (Brazil) 5.7 L LF9 V8 (1978–81) 6.2 L Detroit Diesel V8 (1982–91) ガソリン 4.1 L I6 5.0 L V8 (1976–88) 5.0 L V8 (1973) 5.7 L V8 6.6 L V8 (1976–80) 7.4 L V8 |
変速機 | マニュアル 3MT/4MT オートマチック 3-Speed THM-350 3-Speed THM-400 4-Speed 700R4 (1981–91) 4-Speed 4L80-E (1991) |
車両寸法 | |
ホイールベース | 3,289 mm |
全長 | 5,565 mm |
全幅 | 2,022 mm |
全高 | 1,829-1,933mm |
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7代目は当初、家族向け4ドア車であった。1970年代の角の丸いボディスタイルは、最も製造期間の長い18年間の当世代を彷彿とさせるものである。2WDと4WDをラインナップし、ベースエンジンは、スモール・ブロック350立方インチで、400立方インチV8はオプションであった。454立方インチV8エンジンが2WDの3/4tモデルで最も一般的に搭載されていた。
オイルショックの影響から、1982年以降のモデルでは6.2LディーゼルV8エンジンが搭載されるようになり、これが後にヨーロッパへの輸出モデルとなる。トランスミッションは、当初、3速ターボ・ハイドロマチック(オートマチック)が搭載されており、1/2トン・モデルにはターボ・ハイドロマチック350、3/4トン・モデルにはターボ・ハイドロマチック400が搭載された。各数字は最大許容トルクによるクラス分けを表す。また、ベース車両から上級グレードのシルバラードまで、3列シートがオプション設定され、9人乗りとなった場合の最後列の居住性向上のため、リア・ヒーティング・システムもオプションで設定された。
1986年と1987年、ガソリンエンジンの燃料供給がキャブレターから電子フューエル・インジェクションに変更された。この変更によって燃費が向上し、排出ガスの浄化が実現した。燃費向上の一環として、700R4 (1/2tモデル)と4L80 (3/4tモデル)にオーバードライブ付き4速オートマチックの搭載が可能となった。
8代目(1992年 - 1999年)
シボレー・サバーバン | |
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概要 | |
別名 | GMCサバーバン ホールデン サバーバン |
販売期間 | 1992-1999 |
ボディ | |
プラットフォーム | GMT400 |
パワートレイン | |
エンジン | 6.5 L L56 & L65 Turbo Diesel V8 (2500のみ) 5.7 L L05 V8 (1992–1995) 5.7 L Vortec L31 V8 (1996–1999) 7.4 L L19 V8 (2500のみ) (1992–1995) 7.4 L Vortec L29 V8 (2500のみ) (1996–1999) |
変速機 | 4AT |
車両寸法 | |
ホイールベース | 3,340 mm |
全長 | 5,560 mm-5,588 mm |
全幅 | 1,869 mm-1,956 mm |
全高 | 1,748 mm-1,895 mm |
系譜 | |
後継 | GMCユーコンXL(GMCサバーバン) |
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1992年、GMT400プラットフォームをベースとしたサバーバンが登場した。このプラットホームは1988年の時点で完成しており、他のピックアップトラックのモデルチェンジに比較して、サバーバンへの採用は非常に遅いものであった。また、この代のみ右ハンドル仕様がホールデンブランドで生産され、オーストラリアやニュージーランドで発売された(Holden Suburban(英語版))
全てのグレードのベース・エンジンはスモール・ブロック350立方インチ (5.7L-V8) で、よりヘビーデューティーな2500シリーズには、ビッグ・ブロック454立方インチ (7.4L-V8) がオプションで搭載可能で、6.5Lターボ・ディーゼル・エンジンが全てのモデルにオプションで搭載可能であった。GMT400プラットフォームは、独立懸架のフロント・サスペンションが装備され、乗り心地が向上したことが特徴であったが、2WDではコイル・スプリング、4WDではドライブシャフトとの干渉を避けるためトーションバー・スプリングが採用された。なお、全てのモデルで、リア・サスペンションはライブ・アクスルと板バネが採用されていた。この世代でも3列シートがオプションで選択でき、9人乗りが可能であった。
1996年には、ボルテック・エンジンが搭載され、馬力と燃費が向上した。
1998年には、フルタイム4WDがオプションで登場した。
9代目(2000年 - 2006年)
2000年にGMT800プラットホームをベースとした新型モデルが発表された。1/2tと3/4tの2グレードが用意され、2WDの他、すべてのモデルでパートタイム4WDモデルのオプション設定があった。なお、この世代からGMC版はユーコンXLと改名した。
2001年、6.0Lエンジンが20馬力アップし、8.1Lが3/4tモデルのオプションとして設定された。
2002年には、アロイホイール、パワーウィンドウ、フロントパワー・シートなど、多くのオプションが追加された。また、Z71オフロード・パッケージが追加設定された。
2003年は、不評の多かったインテリアについて、シボレー他車も含めて見直しが図られた。
2005年には1/2tモデルでスタビリティ・コントロールが標準装備となった。
2006年、20インチ・ホイール、4WD、1/2tモデルに6.0Lを標準搭載して、LTZパッケージの販売が開始された。
10代目(2007年 - 2014年)
2006年1月のロサンゼルスオートショーでGMT900プラットフォームをベースとした2007年モデルが発表された。タホやユーコンと同様、モダンで、よりエアロダイナミクスを取り入れたスタイリングとなった。
インテリアはダッシュボードもシートも見直しがなされているが、過去のモデル同様、3列9人乗りの設定がある。
オプションで防弾ガラスと装甲と8889specialを施すことができるため、アメリカのシークレットサービスが大統領の警護のために使用している。
大統領来日時などの際には、要人警護用としてアメリカ合衆国から在日米軍航空基地などへ航空輸送される。
日本国内では自家用車として所有されている例は非常に珍しく、ボディーガードや民間警備会社などに使用されている場合が多い。
映画『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』にはシークレットサービス仕様の車両が登場。ディセプティコンのドレッズが変形する。
11代目(2015年 - 2020年)
2013年9月12日、11代目のサバーバンが一般に公表された。2014年2月には、テキサス州アーリントンで生産されたものが、GMT K2プラットフォームの2015年モデルとして発売された。
新開発のECOTEC3は355馬力を発生し、気筒休止システムや6速ATを採用することによりV8搭載モデルSUVにおいて最高の低燃費を実現しているとアナウンスしている。2WD、4WD(AWD)から選択可能で、LS、LT、LTZの3グレード構成となっている。
注目すべき点は、後部席の居住性が格段に良くなったことで、セカンドシートの足元が従来モデルに比べ50mm拡大し足元がかなり広くなっている点に加え、今まで跳ね上げ格納固定式で取り外しも少々困難だったサードシートが床下収納タイプとなった。さらに最高級グレードであるLTZのみパワーフォルディングサードシート(電動格納)が採用されている。
また、アダプティブクルーズコントロール、フロント&リヤパークアシストセンサー、サイドブラインドゾーンアラート(側方死角警告装置)、リヤクロストラフィックアラート(後方横断物感知警告装置)、レーンチェンジアシスト(車線変更警告装置)など様々な安全装置が標準となっている。
12代目(2020年 - )
シボレー・サバーバン (12代目) | |
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概要 | |
販売期間 | 2020年 - |
ボディ | |
乗車定員 | 7名[2] |
ボディタイプ | 5ドアSUV[2] |
エンジン位置 | フロント[2] |
駆動方式 | 全輪駆動[2] |
パワートレイン | |
エンジン | ガソリン: 6.2L V型8気筒OHV[2] 5.3L V型8気筒OHV[2] ディーゼル: 3,000cc 直列6気筒ターボ[2] |
最高出力 | ガソリン: 6.2 V6: 313 kW (426 PS) / 5,600 rpm[2] ディーゼル: 207 kW (281 PS) / 3,750 rpm[2] |
最大トルク | ガソリン: 6.2 V6: 623N・m / 4,100 rpm[2] ディーゼル: 623N・m / 1,500 rpm[2] |
変速機 | 10速AT[2] |
サスペンション | |
後 | 独立懸架サスペンション[2] |
車両寸法 | |
ホイールベース | 3,407 mm[2] |
全長 | 5,732 mm[2] |
全幅 | 2,059 mm[2] |
全高 | 1,923 mm[2] |
車両重量 | 2,729 kg[2] |
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11代目に対して車体は新設計となるなど、全面刷新された[2]。さらに11代目よりも、ヘッドライトや大型グリルの形状など、GMの新しいデザインテーマの影響が見られる[2]。
脚注
- ^ 元来は一頭立ての小型馬車のことで、北米ではミニバスの意味で用いられる。マイクロバスほどの定員は無く、大きめのミニバンか、欧州のピープルムーバー程度の大きさと定員数。この用途での日本の車名では、トヨタ・ハイエースの「コミューター」などの例がある。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t 森本太郎 編『世界の自動車オールアルバム 2020年』三栄書房、2020年8月8日、185頁。ISBN 978-4-7796-4170-1。
関連項目
外部リンク
- シボレー・サバーバン (英語)
ポータル 自動車 / プロジェクト 乗用車 / プロジェクト 自動車 | |||||
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