MQ-4C (航空機)

MQ-4C トライトン

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MQ-4C トライトン(MQ-4C Triton)は、ノースロップ・グラマン社によって開発された無人航空機RQ-4 グローバルホークアメリカ海軍向け洋上監視型。トライトンとはトリートーン英語表記である。

概要

RQ-4N BAMS(Broad Area Maritime Surveillance:広域洋上監視)の名称で2012年に開発が始まり、2013年5月22日に初号機が初飛行。当初は2015年末の配備を予定していたが開発が遅延し配備開始が2018年になった。最終的には68機を5ヶ所の拠点で運用する予定。アメリカ以外ではオーストラリアが運用している。

有人哨戒機であるP-8 ポセイドンを補完する広域海洋監視を任務とし、MQ-4Cが対象を発見した際にP-8が駆け付けて対処するという運用を想定している。その任務の関係上、ベース機であるRQ-4よりも低い高度で飛行する可能性があるため、機体には構造の強化と氷結や落雷、防錆などの対策が施されているという。また、電子機器もXバンドAESAレーダーAN/ZPY-3 MFAS(Multi-Function Active Sensor:多機能アクティブセンサー)、AIS受信機、ESM受信機など洋上監視に最適化されたものを搭載している。

運用国

P-8とセットでの運用を想定しているため、P-8を導入した国へ売り込みがかけられているが、P-8単体でも高額であるため、インドなどMQ-4Cは導入しない国もある。逆に単体で購入することも可能であり、ドイツではSIGINT機としての運用を予定していた。

現在の運用国

アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国

2018年からグアムに機体の配備が開始された。
操縦や情報解析などはP-8の統合訓練センターが設置されているジャクソンビル海軍航空基地(英語版)に新設された無人哨戒機の運用を行う専門部隊第19無人機哨戒飛行隊が担当する[1]
2021年5月から2機のMQ-4Cが青森県三沢市米軍三沢基地に約5カ月間配備された。日本国内においてMQ-4Cが配備・展開されるのは初であり、防衛省はMQ-4Cの一時配備について「周辺国による海洋活動が活発化する中で、海洋監視能力の強化をもたらし、わが国の安全保障にとって有益だ」と評している[2]。2022年5月からは岩国基地に、RQ-4グローバルホークとともに5ヶ月配備された[3]
2024年5月9日、嘉手納基地にMQ-4C 2機が到着し、5ヶ月間の一時展開が開始した[4]

オーストラリアの旗 オーストラリア

3機を受領しており、2024年から運用開始予定である[5]。最終的には6〜7機の調達を予定している[5]
P-8計画には当初から参加しておりP-8AとMQ-4Cとの混合運用を予定している。

調達中止

ドイツの旗 ドイツ

ドイツ空軍が頓挫したユーロホークの代用として2025年を目処に導入予定であったが、 ヨーロッパ空域での安全基準を満たさないことが判明し、購入計画が中止された。[6]代わりに有人機であるボンバルディア グローバル・エクスプレス6000を導入予定である[7]

諸元

脚注

  1. ^ “Navy aviators set to start controlling unmanned aircraft from Jacksonville” (英語). The Florida Times-Union - Jacksonville. (2018年2月11日). http://www.jacksonville.com/news/20180211/navy-aviators-set-to-start-controlling-unmanned-aircraft-from-jacksonville 
  2. ^ “米海軍無人機、三沢基地に 5カ月間配備、国内初展開”. 産経新聞. 2021年5月15日閲覧。
  3. ^ “グローバルホークとトライトン、2022年も日本に2機種同時展開 横田と岩国 | FlyTeam ニュース”. FlyTeam(フライチーム). 2024年6月18日閲覧。
  4. ^ 日本放送協会. “米海軍の大型無人偵察機が嘉手納基地に着陸 一時的展開始まる|NHK 沖縄県のニュース”. NHK NEWS WEB. 2024年6月18日閲覧。
  5. ^ a b “Royal Australian Air Force Reactivating Squadron to Operate New MQ-4C Tritons” (英語). USNI News (2023年3月3日). 2023年3月25日閲覧。
  6. ^ “Germany to buy Triton drone to replace cancelled Euro Hawk” (英語). Reuters. (2017年3月7日). http://uk.reuters.com/article/uk-germany-northrop-idUKKBN16E149 
  7. ^ Sprenger, Sebastian (2020年1月28日). “Germany walks away from $2.5 billion purchase of US Navy’s Triton spy drones” (英語). Defense News. 2023年3月25日閲覧。

参考文献

  • 『軍用ドローン年鑑』イカロス出版、2016年8月15日。ISBN 9784802201957。 
  • 井上, 善博「米海軍が広域洋上監視UAVとしてMQ-4Cを開発した意義」『海幹校戦略研究』第10巻第1号、海上自衛隊幹部学校、2020年7月、190-208頁。 

関連項目

外部リンク

ウィキメディア・コモンズには、MQ-4C (航空機)に関連するカテゴリがあります。
  • ノースロップ・グラマン社公式サイト
  • アメリカ海軍公式サイト
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