負ケラレマセン勝ツマデハ

負ケラレマセン勝ツマデハ
作者 坂口安吾
日本の旗 日本
言語 日本語
ジャンル 随筆評論
発表形態 雑誌掲載
初出情報
初出中央公論文芸特集』1951年6月25日(第8号)
ウィキポータル 文学 ポータル 書物
テンプレートを表示

負ケラレマセン勝ツマデハ』(まけられませんかつまでは)は、坂口安吾随筆評論税金滞納で家財道具と蔵書を差押えられた安吾が、国税庁を相手に闘いを起こした記録である。1951年(昭和26年)6月、雑誌『中央公論文芸特集』(第8号)に掲載された[1][2]

1958年(昭和33年)には、同作を原作とし製作・公開された豊田四郎監督の日本の長篇劇映画もある[3]

収録書籍

  • 『定本坂口安吾全集 第8巻 評論 II』(冬樹社、1969年10月15日)
  • 『坂口安吾全集16』(ちくま文庫、1991年7月24日) ISBN 448002476X
    • 解説:中村雄二郎「探偵モラリスト」。解題:関井光男
  • 『坂口安吾全集12』(筑摩書房、1999年1月20日) ISBN 4480710426
    • 解題・校異:関井光男。
    • 付録・月報9:赤坂憲雄「百姓という喩、魂の笑い」〈解説〉、立松和平「立松和平」〈エッセイ〉、〔匿名〕「安吾的文体の魅力/安吾地下へモグる」〈回想・同時代評〉、柄谷行人「坂口安吾について(9)ファルス」〈連載〉
    • ※ 坂口安吾の直筆原稿を翻刻した唯一の版。

映画

負ケラレマセン勝ツマデハ
監督 豊田四郎
脚本 八住利雄
製作 東京映画
製作総指揮 佐藤一郎
出演者 森繁久彌
望月優子
三遊亭小金馬
野添ひとみ
淡島千景
音楽 芥川也寸志
撮影 安本淳
編集 岩下広一
製作会社 東京映画
配給 東宝
公開 日本の旗 1958年1月9日
上映時間 106分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
テンプレートを表示
ポータル 映画
ポータル 映画

負ケラレマセン勝ツマデハ』(まけられませんかつまでは)は、同名のエッセイを原作に1958年(昭和33年)製作、同年1月9日公開、豊田四郎監督による日本の長篇劇映画である[3]。製作東京映画、配給東宝

坂口安吾原作の発表から6年後の1957年(昭和32年)に東宝系の映画製作プロダクション東京映画で同作の映画化が企画されたものである。

2006年(平成18年)、東京・渋谷新潟市で行われた「坂口安吾映画祭」で上映された[4]

ストーリー

舞台は東京の新開地。社長・岡見久吉(森繁久彌)が経営する会社「幌・内張株式会社」は、自動車やオート三輪の幌を取り替えることが主たる営業品目で、従業員は1名、重役陣は久吉の一族郎党である。社長以下重役が主体になって働き、1名の従業員は小僧の仁吉(山遊亭金時)である。絵に描いたような小企業である。

久吉の経営者としての目下最大の悩みは「税金」である。昨年度は社長の久吉が病に臥せり、経常赤字であったにもかかわらず税務署は不当な税金を徴収した、と怒り狂い、久吉は頑として払わなかった。一難去ってまた一難、久吉が競輪場へ憂さ晴らしに出かけた留守を見計らい、税務署の役人(瀬良明、須永康夫)が乗りこみ、商売道具、家財道具かまわず「差押札」を張りまくって帰っていった。

社長夫人のはつ枝(望月優子)の妹の友川お仙(淡島千景)は、町内で店「鮨仙」を経営していた。その店の客に、税吏の松井圭吉(小林桂樹)という男が通っていて、お仙に気があることを知ったはつ枝は、税法のウラを聞き出すようにお仙に頼んだ。色仕掛けで聞き出すが、やがて松井はお仙に騙されたことを知ると、税吏の苦しさをお仙に語るのだった。お仙はその姿に惹かれる。

いよいよ税務署が久吉の会社を訪れる日が来た。猛練習した想定問答集を手に久吉は大演説をぶとうとするが、総務課長の堀部(藤村有弘)と税吏の松井の慣れた調子に圧倒された。久吉は、昨年度の赤字であることから税金免除の対象であることを主張するが、税務署サイドは異議申立を法律通りに行え、と主張、解決はしなかった。しかし差し押さえはやってくる。差し押さえ隊に松井の姿はなかった。税務署を辞め、結婚するらしい。

がらんどうになってしまった幌・内張株式会社本店。久吉社長は、差し押さえですべて納税したわけで、多少さびしいが、これまで通り働こうと決意を新たにした。

キャスト

スタッフ・作品データ

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ 「年譜」(文庫版『堕落論』)(新潮文庫、2000年)
  2. ^ 負ケラレマセン勝ツマデハ、坂口安吾デジタルミュージアム、2009年10月16日閲覧。
  3. ^ a b 負ケラレマセン勝ツマデハ、kinejun.jp, 2009年10月16日閲覧。
  4. ^ Tezka Macoto' 6D -手塚眞ブログ-: ANGOFF 3、手塚眞、2006年11月28日付、2009年10月16日閲覧。

参考文献

外部リンク

坂口安吾の作品
文芸作品・自伝小説
  • 木枯の酒倉から
  • ふるさとに寄する讃歌
  • 風博士
  • 黒谷村
  • 海の霧
  • 霓博士の廃頽
  • 竹薮の家
  • 蝉――あるミザントロープの話
  • 姦淫に寄す
  • 蒼茫夢
  • 金談にからまる詩的要素の神秘性に就て
  • 逃げたい心
  • をみな
  • 狼園
  • 吹雪物語
  • 閑山
  • 紫大納言
  • 木々の精、谷の精
  • 篠笹の陰の顔
  • イノチガケ
  • 風人録
  • 波子
  • 島原の乱雑記
  • 真珠
  • 二十一
  • 黒田如水
  • 鉄砲
  • 露の答
  • わが血を追ふ人々
  • 白痴
  • 外套と青空
  • 女体
  • いづこへ
  • 戦争と一人の女
  • 石の思ひ
  • 続戦争と一人の女
  • 恋をしに行く
  • 道鏡
  • 私は海を抱きしめてゐたい
  • 家康
  • 風と光と二十の私と
  • 花妖
  • 二十七歳
  • 桜の森の満開の下
  • 金銭無情
  • オモチャ箱
  • 青鬼の褌を洗う女
  • 二流の人
  • 三十歳
  • 織田信長(未完)
  • にっぽん物語(火)
  • 天明太郎
  • 肝臓先生
  • 街はふるさと
  • 女忍者使ひ
  • 夜長姫と耳男
  • 信長
  • 梟雄
  • 握つた手
  • 女剣士
  • 保久呂天皇
  • 花咲ける石
  • 真書太閤記
  • 狂人遺書
  • 青い絨毯
推理小説・探偵小説
評論・随筆
  • 今後の寺院生活に対する私考
  • ピエロ伝道者
  • FARCEに就て
  • ドストエフスキーとバルザック
  • 長島の死に就て
  • 枯淡の風格を排す
  • 牧野さんの祭典によせて
  • 牧野さんの死
  • かげろふ談義
  • 文学のふるさと
  • ラムネ氏のこと
  • たゞの文学
  • 日本文化私観
  • 青春論
  • 芸術地に堕つ
  • 処女作前後の思ひ出
  • 堕落論
  • 天皇小論
  • 続堕落論
  • デカダン文学論
  • 戯作者文学論
  • 特攻隊に捧ぐ
  • 恋愛論
  • 教祖の文学
  • 散る日本
  • 新カナヅカヒの問題
  • 不良少年とキリスト
  • 太宰治情死考
  • 戦争論
  • ヨーロッパ的性格、ニッポン的性格
  • 哀れなトンマ先生
  • 安吾巷談
  • 百万人の文学
  • 安吾新日本地図
  • 負ケラレマセン勝ツマデハ
  • 飛騨の顔
  • 歴史探偵方法論
  • 光を覆ふものなし―競輪不正事件
  • 安吾史譚
  • もう軍備はいらない
  • 人の子の親となりて
  • 坂口安吾下田外史
  • 安吾新日本風土記
  • 砂をかむ
戯曲
  • 麓(未完)
  • 輸血
翻訳
  • プルウストに就てのクロッキ(マリイ・シェイケビッチ)
  • ステファヌ・マラルメ(ヴァレリー
  • エリック・サティ(コクトー
  • いんそむにや(ロジェエル・ヴィトラク(英語版)
  • 我等が鳥類(トリスタン・ツァラ
関連項目
関連カテゴリ
  • 坂口安吾
  • 小説
  • 評論
  • 原作映画作品