沼田場

ぬた場。スイスティチーノ州ロカルノ郡(ロンバルド語版、英語版)テレ・ディ・ペデモーテ(ロンバルド語版、英語版)の森にて。2010年4月19日。北緯46度11分18秒 東経8度42分13秒 / 北緯46.1884度 東経8.703618度 / 46.1884; 8.703618
ぬた場のイノシシ。ドイツミュンヘン近郊のグリュンヴァルダーの森(ドイツ語版)にて。2007年5月22日。北緯48度01分27秒 東経11度31分43秒 / 北緯48.024167度 東経11.528611度 / 48.024167; 11.528611

沼田場(ヌタ場、ぬた場[1]、ぬたば、英語: wallow[2][3]ドイツ語: Suhle[注 1])とは、イノシシシカなどの動物が、表に付いているダニなどの寄生虫や汚れを落とすためにを浴びるぬたうち(英語版)(ぬた打ち、: Wallowing)を行う場所[要曖昧さ回避]のこと[4]ノタ場とも呼ばれる[5]

概説

の畔、休耕田[6]なども使われるが、谷筋の一定の場所が繰り返し使われることがある[5]。 日本の猟師の間ではぬた場に、山の神がいて、祈ることでが現れると考えられていた[1]

日本の神奈川県東丹沢地域での観察によれば、ヌタ場で最も多い行動は動物の種類、ニホンジカ、イノシシ、タヌキアナグマによって異なるとことが判明した。ニホンジカは飲水(オスに限るとヌタ浴び)、イノシシはヌタ浴び、タヌキとアナグマは臭い嗅ぎが最も多い行動で、ニホンジカのメスにとってヌタ場は塩場(英語版)としての機能も有している可能性があることが報告されている[7]

「:en:Wallowing」も参照

ぬたうちの類似例

砂浴び」も参照

体表をきれいにする行動には、大型哺乳類泥浴び鯨類ブリーチング(英語版)皮膚の剥離化(Exfoliate[8]スクラッチャソン(scratchathon)[9]ラビング(rubbing)) のほか、スズメなどの鳥類や哺乳類の砂浴びヒト入浴にも該当する水浴び、一部の鳥類に見られる蟻浴 などがある。

関係する表現

日本語では「沼田(ぬた)」だけで、泥の深い田んぼのことさし、イノシシの寝床、あるいは泥土をさす場合もある[10]

イノシシや獣が泥土の上をころげまわる様は、日本語で「ぬたうつ」(あるいは「のたうつ」)といい[11]、その行動は「ぬたうち(英語版)(ぬた打ち)」[12]、あるいは「ヌタ浴び」[7]と表現される。

ギャラリー

  • イノシシのぬた場。ジョージアリカニ(英語版)近郊のボルジョミハラガウリ国立公園(グルジア語版、英語版)内にて。2016年2月27日。
    イノシシのぬた場。ジョージアリカニ(英語版)近郊のボルジョミハラガウリ国立公園(グルジア語版、英語版)内にて。2016年2月27日。
  • シカのぬた場。スコットランドケアンゴームズ国立公園(スコットランド語版、英語版)内にて。2007年10月7日。北緯56度49分23秒 西経3度43分06秒 / 北緯56.82319度 西経3.7183度 / 56.82319; -3.7183
    シカのぬた場。スコットランドケアンゴームズ国立公園(スコットランド語版、英語版)内にて。2007年10月7日。北緯56度49分23秒 西経3度43分06秒 / 北緯56.82319度 西経3.7183度 / 56.82319; -3.7183
  • 泥につかったイボイノシシ。セネガルのガンビア国境付近のファサラ動物保護区(英: Fathala Wildlife Reserve)にて。2016年2月27日。北緯13度38分45秒 西経16度26分59秒 / 北緯13.6459度 西経16.4498度 / 13.6459; -16.4498
    泥につかったイボイノシシセネガルガンビア国境付近のファサラ動物保護区(: Fathala Wildlife Reserve)にて。2016年2月27日。北緯13度38分45秒 西経16度26分59秒 / 北緯13.6459度 西経16.4498度 / 13.6459; -16.4498

脚注

注釈

  1. ^ 三省堂『クラウン独和辞典(第3版)』(2002年。ISBN 4385120080)において、「イノシシ・シカなどが泥浴びをする泥水の水たまり」とある。

出典

  1. ^ a b 新村出編『広辞苑』(第五版)岩波書店、1998年。ISBN 4000801112
  2. ^ wallowの意味 - goo辞書 英和和英
  3. ^ wallowの意味・用例|英辞郎 on the WEB:アルク
  4. ^ 『沼田場』 - コトバンク
  5. ^ a b 世界大百科事典 第2版『ノタ場』 - コトバンク
  6. ^ 藤ノ木正美 2010
  7. ^ a b 佐野千尋 et al. 2019
  8. ^ Pynn 2015.
  9. ^ Coghlan 2017.
  10. ^ 大辞林 第三版、デジタル大辞泉『沼田』 - コトバンク
  11. ^ 大辞林 第三版、デジタル大辞泉『ぬたうつ』 - コトバンク
  12. ^ 鹿の「ぬたうち」って何? | DEER INFO-日本で唯一の鹿情報総合サイト

参考文献

  • 藤ノ木正美「雪深い地方で越冬するイノシシ(十日町清津峡)」『柏崎市博物館報』第24巻、柏崎市博物館、2010年、107-110頁。 柏崎市立博物館館報:第21号~第25号|柏崎市
  • Pynn, Larry (2015). “Bowhead Whales Like to Exfoliate, Too”. Hakai magazine (Hakai Magazine). ISSN 2371-5790. https://www.hakaimagazine.com/news/bowhead-whales-exfoliate-too/. 
  • 船越公威「野生動物の痕跡を探そう : 意外に身近にいる野生動物たち」『Nature of Kagoshima』第42巻、鹿児島県自然環境保全協会、2016年3月、527-537頁、ISSN 1882-7551。 
  • Coghlan, Andy (2017). “Sperm whale's skin comes off during mass 'scratchathon'”. New Scientist (New Scientist Ltd.) (3113). ISSN 0262-4079. https://www.newscientist.com/article/mg23331130-200-sperm-whales-skin-comes-off-during-mass-scratchathon/. 
  • 佐野千尋、大川智也、鹿島惇平、米地梨紗子、糟屋奈津実、黒澤亮、松林尚志「神奈川県東丹沢地域における中大型哺乳類のヌタ場利用」『哺乳類科学』第59巻第1号、日本哺乳類学会、2019年、37-48頁、doi:10.11238/mammalianscience.59.37、ISSN 0385-437X。 

関連項目

外部リンク

  • ペッカリーのヌタ場へ集まる野生動物 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト
  • 行動・生態 | 一般財団法人奈良の鹿愛護会
  • 「垈」読める? 意味は? 山梨にしかない漢字、ルーツ探ってみた - withnews(ウィズニュース)2018年7月19日
  • inoshishi < 小橋家の自然観察的道楽生活
  • Wild boars, behavior and body language:wallowing and threat postures.(英語)
  • Signs of Wild Pigs(英語) | Wild Pig Info | Mississippi State University Extension Service
  • イノシシのヌタ場に来る生き物 - YouTube - イノシシ、アナグマ、フクロウのぬた場利用の様子。
  • イノシシのぬた場 - YouTube - イノシシのぬた場利用の様子。
  • 野生動物カメラでぬた場にきた4尖のシカ雄個体を撮影 - YouTube - シカのぬた場利用の様子。
  • エゾシカ・ホンシュウジカ・ヤクシカ < 日本のけものたち JAPANESE MAMMALS(哺乳類大好き人間たちのためのページ)
  • 車山高原レア・メモリーが語るニホンジガの生態 < 車山高原のペンション リゾートイン レア・メモリー【公式サイト】
  • 鳥獣被害対策ドットコム|獣害・イノシシ対策に有効な鳥獣対策用品専門店
  • ヌタ場でシカを見た < Gen-yu's Files
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