朱異

曖昧さ回避 この項目では、三国・呉の武将について説明しています。南朝・梁の文官で「朱異」とも書かれた人物については「朱异」をご覧ください。
朱 異

鎮南将軍・大都督
出生 生年不明
揚州呉郡呉県
死去 太平2年9月1日(257年9月26日
拼音 Zhu Yi
季文
主君 孫権孫亮
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朱 異(しゅ い)は、中国三国時代の武将。呉に仕えた。季文。揚州呉郡呉県の人。父は朱桓。従父は朱拠

経歴

幼いときからその聡明さが評判であり、朱拠を感心させたという(『文士伝』)。孫権は父が高官であることを理由に朱異を郎に取り立てた。父の死後に騎都尉となり、父の兵を預かるようになった。赤烏4年(241年)、朱然の指揮下で樊城攻撃に参加し、自ら献策して呂拠と共に城の外郭を壊し、その功績を称えられ偏将軍となった(芍陂の役)(「呂範伝」)。

あるとき、孫権は朱異と軍事について論じ合い、応対が気に入ったため、朱拠に対し朱異のことを「肝が据わった噂通りの男」と称えたという。

魏の文欽が砦を多数築き、そこに呉の降伏者を収容し国境で略奪を働いていたため、朱異は二千の兵を率いてこれを打ち破った。この功績により揚武将軍となった。

赤烏13年(250年)、文欽が偽の降伏を申し入れてきたが、朱異はこれを見破り、孫権に信用しないよう申し入れた。孫権は呂拠に命じ、大軍を率いて文欽の身柄を引き取りに行かせたが、文欽は現れなかった。

建興元年(252年)、鎮南将軍に昇進した。魏が東興に侵攻してくると(東興の戦い)、水軍を指揮して魏軍の浮橋を破壊し、呉の勝利に貢献した。

諸葛恪の魏侵攻にも参戦し、合肥新城が落城させられないことを悟って、軍を豫章石頭城に転進させる献策をしたが、諸葛恪に拒絶された。朱異は怒りのあまり暴言を吐いたため、兵を取り上げられて建業に戻されたという(『呉書』)。

諸葛恪の死後、孫峻の軍事行動にも参加し、また五鳳3年(256年)に呂拠が謀反を起こすと、孫峻の後を継いだ孫綝の命令に従い、その討伐にあたった。

太平2年(257年)、仮節・大都督となり孫綝の命を受け、3万の兵を率いて寿春諸葛誕の援護に向かった。先行した文欽や全端達の軍は寿春に入城を果たしたが、朱異は先に孫壱の討伐を命じられていたため、寿春周辺に来たときは既に魏軍による包囲網が敷かれた後で、入城することができなかった。朱異は包囲陣の突破を図ったが、州泰に撃退された。孫綝から前都督に任じられ、丁奉らと共に5万の兵を率いて再度出撃した。この際、陸抗が魏の偏将軍や牙門将軍を破るなど戦果を挙げたものの、呉軍は州泰・胡烈・石苞の軍勢の前に敗れた。再び孫綝から出撃を命じられたが拒否したため、激怒した孫綝に誅殺された。このとき朱異は陸抗の制止も振りきり、孫綝は身内であるとして捕縛の計画を疑うこともなく参内した。捕縛されたときは猛抗議したが、そのまま絞め殺されたという(『呉書』)。

陳寿は朱異を、父の名を辱めない将軍と賞賛しつつも、呂拠と同様、性格的な欠点もないのに非業の死を遂げたことを、時代の変化によるものと評している。

三国志演義』では、敗北を重ねて諸葛誕の救援に失敗し、孫綝に斬られる将軍としての出番しかない。

陳寿撰 『三国志』 に立伝されている人物および四夷
魏志
(魏書)
巻1 武帝紀
巻2 文帝紀
巻3 明帝紀
巻4 三少帝紀
巻5 后妃伝
巻6 董二袁劉伝
巻7 呂布臧洪伝
巻8 二公孫陶四張伝
巻9 諸夏侯曹伝
巻10 荀彧荀攸賈詡伝
巻11 袁張涼国田王邴管伝
巻12 崔毛徐何邢鮑司馬伝
巻13 鍾繇華歆王朗伝
巻14 程郭董劉蔣劉伝
巻15 劉司馬梁張温賈伝
巻16 任蘇杜鄭倉伝
巻17 張楽于張徐伝
巻18 二李臧文呂許典二龐
閻伝
巻19 任城陳蕭王伝
巻20 武文世王公伝
巻21 王衛二劉傅伝
巻22 桓二陳徐衛盧伝
巻23 和常楊杜趙裴伝
巻24 韓崔高孫王伝
巻25 辛毗楊阜高堂隆伝
巻26 満田牽郭伝
巻27 徐胡二王伝
巻28 王毌丘諸葛鄧鍾伝
巻29 方技伝
巻30 烏丸鮮卑東夷伝

(蜀書)
巻31 劉二牧伝
巻32 先主伝
巻33 後主伝
巻34 二主妃子伝
巻35 諸葛亮伝
巻36 関張馬黄趙伝
巻37 龐統法正伝
巻38 許糜孫簡伊秦伝
巻39 董劉馬陳董呂伝
巻40 劉彭廖李劉魏楊伝
巻41 霍王向張楊費伝
巻42 杜周杜許孟来尹李譙
郤伝
巻43 黄李呂馬王張伝
巻44 蔣琬費禕姜維伝
巻45 鄧張宗楊伝
呉志
(呉書)
巻46 孫破虜討逆伝
巻47 呉主伝
巻48 三嗣主伝
巻49 劉繇太史慈士燮伝
巻50 妃嬪伝
巻51 宗室伝
巻52 張顧諸葛歩伝
巻53 張厳程闞薛伝
巻54 周瑜魯粛呂蒙伝
巻55 程黄韓蔣周陳董甘淩
徐潘丁伝
巻56 朱治朱然呂範朱桓伝
巻57 虞陸張駱陸吾朱伝
巻58 陸遜伝
巻59 呉主五子伝
巻60 賀全呂周鍾離伝
巻61 潘濬陸凱伝
巻62 是儀胡綜伝
巻63 呉範劉惇趙達伝
巻64 諸葛滕二孫濮陽伝
巻65 王楼賀韋華伝